過去記事のまとめ

ハーブ解説過去記事まとめ Part61

Capusicum annium

読み方:カプシカム・アニウム

低木性の一・二年草で、野生の品種10種と4.5種類の栽培品種が熱帯アメリカに存在しており、世界のスパイスの中でブラックペッパーに次いで重要な位置を占めています。

属名のCapsicumは実の中身のない様子からラテン語で「箱」を意味するCapsaに由来します。

後述するvar~は変種という意味で、栽培されているチリペッパー類の殆どがこの品種に属しており、大きく分けて5種類あり、Cerasiforme(チェリー)、Coniodes(コーン)、Fasiculatum(レッドコーン)、Grossum(ピメント又はベルペッパー)、Longum(カイエン・チリ)に分類され、どれもビタミンCや、チリペッパーの辛さのもとであるアルカロイドの一種であるカプサイシンを含んでいます。

Capusicum annium var.annium

一年草から多年草まである高さ1.5m、広がり2.5mになるハーブです。枝分かれした茎と単純な先の尖った葉を付け、ベル型の白から緑色の花を春と夏に咲かせた後、15cm程の実が付きます。これは熟すと様々な色に変化します。この品種は甘・辛品種があり、前者はパプリカ、後者はカイエンとなります。

各種利用法

料理

辛い実、甘い実共に熟したもの、未熟なもの、乾燥したものが野菜として使われます。世界各地で生、料理、ピクルス、チャツネなどに利用され、特に原産地である南米や中米、メキシコ、インドでは頻繁に料理に加えられます。熟したものはチリパウダーやカイエンペッパーに加工されるのです。

唐辛子を用いた調味料は世界中にあり、韓国の「コチュジャン」、中国の豆を発酵させた調味料「コチュジャン」、アメリカ生まれの「タバスコソース」、メキシコの「サルサソース」などがあります。日本では唐辛子を乾燥させ粉末状にした「一味唐辛子」と、一味に様々な香辛料を加えた「七味唐辛子」があります。

薬用

辛い実には強壮、殺菌作用があり、循環器系、消化器系の刺激、発汗促進、組織を刺激して末端血流の増加、痛覚鈍麻作用があります。内服では、発熱前の悪寒、病後の衰弱、静脈瘤、喘息、消化機能不全に用い、外用では捻挫やひびが入る前の霜焼け、神経痛、胸膜炎などに利用することが可能です。

他の利用法として、穏当援用のうがい薬にミルラと混ぜて使用するほか、熱帯地方では胃腸の解毒剤や食品の保存に辛味のあるペッパー重要視されています。

カプサイシンの働き

チリペッパーに含まれる辛味の元となる化合物のことで、痛みの感覚を脳に伝えて、局所の炎症性反応を調節する役割を担う”P物質(ニューロペプチド※1)”(代表的な成分ではバニリノイドレセプターなどが挙げられます)を神経細胞から多量に放出させ、”皮膚の知覚ニューロン”のレセプターを刺激します。その結果、神経細胞にあったP物質が枯渇し、脳の痛みのサイン伝達が阻害され、痛覚鈍麻が起こります。

※1ニューロン
ペプチド結合によってアミノ酸が2個以上結合したもの。神経系や機能に影響を及ぼします。
※知覚ニューロン
感覚器官からの刺激を中枢神経に伝達する神経細胞のことです。

簡単に説明すると

カプサイシンを摂取

神経細胞から痛みを伝えるP物質が大量に放出

皮膚の感覚を刺激

神経細胞のP物質が枯渇して脳への痛みのサインが満足に送れなくなる

つまり皮膚への感覚が優先されて、脳への神経伝達が遅れて皮膚以外の痛みが感じにくくなるということです。

多量に食すと粘膜を刺激して内臓を痛めてしまうので注意しましょう。また、敏感肌やアレルギーの人が使用する場合、十分に気をつけましょう。

栽培

日向の水はけの良い肥沃な土地を好み、最低気温は18~21℃が望ましいです。繁殖は早春に種を蒔きましょう。

葉と成長点にはメクラガメという害虫がつくほか、温室などで栽培している場合、ハダニ、コナジラミ、アブラムシが付くことがあります。

歴史

登場したのは大航海時代で、1493年にコロンブスの船に乗っていた医師チョーカによって記述され、ポルトガル語で南アメリカからインド、アフリカに紹介されました。現代では食用の他に観賞用としても栽培され、沢山の小型品種が観賞用として開発されています。

現代のピーマンはフランス語の「ピメント」が訛って伝わったもので、唐辛子は「唐(外国の意)からきた辛子」という意味で唐辛子と呼ばれています。

その他の品種群

Capsicum pubescens

読み方:カプシカム・パブセンス

大きく広がる低木性の多年草で、耐寒性は-5℃とチリペッパーの中では群を抜いて寒さに強く、冷たく湿った気候で15年間実をつけ続けたという記録もあります。。広がりは2mで縞のある茎には紫色の節があり、綿毛の生えた葉を付けます。紫色で中心が白い単性の花のあと、赤、黄、茶などカラーバリエーションが豊富です。

Capsicum baccatum

読み方:カプシカム・バッカトゥム

横に広がる低木性灌木の多年草です。直径1mの根本がベージュ、又は緑色で黄色から褐色の斑点があるのが特徴で、白ないし黄色の花を咲かせ、小さな赤い果実が上向きに実を結びます。主な原産地はアンデス南部とエクアドルで見られます。

Capsicum chinesis

非耐寒性の低木で高さと広がりは共に1.5mです。白またはオレンジがかった花を咲かせ、ぶら下がる形で実を結びます。

C.c.”habanero”

読み方:カプシカム・キネシス・ハバネロ

橙色の提灯型の実をつけ、2.5cm~5cmと小型ながら燻したような香りがし、唐辛子の中でもトップクラスの辛さを誇り、お菓子の名前にもなりました。

C.frutescens

長さ10cm以下の長円形の葉をつける灌木性の品種です。花は黄緑色で、実は赤やオレンジ、黄色に変わり、未熟果である緑色はピリッと辛いです。

C.frutescens”tabasco”

小さな直立性の辛い緑色の実をつける品種で、熟すと赤くなります。学名にもある通り、タバスコやルイジアナソースといったホットソースの原料となります。

C.a.var.annium”Anaheim”

長さ15~20cm、幅5cm以下の先の細い刺激の低い早生チリペッパーです。肉厚で詰め物には向いていますが、乾燥させるのには不向きです。

C.a.var.annium”chilli serrano”

豊富なメキシコ品種で非常に刺激のある長さ4~8cmの赤色の果実で、緑果でも問題なく使用できます。

C.a.var.annium”Jalapeno”

ハラペーニョと言われる唐辛子で、非常に辛い長さ6~10cmの実を一株に100個以上つけます。サルサソースには欠かせないチリペッパーです。

C.a.var.annium”Super cayenn”

細い極辛の真紅の実を付ける交雑種で、耐寒性があり、コンテナでも簡単に栽培できるお手軽さが魅力です。

C.a.var.annium”Hungarian Wax”

長さ14cmと大型の実を結び、黄色く沢山なるのが特徴です。実は肉厚で、熟すと赤くなります。

C.a.var.annium”Purple tiger”

魅力的な小型品種で、白と紫のまだら模様な葉をつけます。小さいですが以上に辛味の強い雫型の果実がなり、未熟果は赤いですが熟していくと紫色になります。

Carthamus

あざみのような14種の一年草と2,3種の多年草からなる植物で、アジアと地中海地域に分布しています。この花に含まれる色素「カルタミン」には水で抽出すると黄色に、アルコールで抽出すると赤色になるという特徴があり、1種類で染め分けることが可能なハーブです。

属名のCarthamus(カルタムス)は着色するという意味のアラビア語qarthamiを語源としています。

C.tinqutoris

読み方:カルタムス・ティンクトリアス

 

直立した茎と棘だらけの葉を持ち、背の高いシルエットが特徴です。夏には棘のある苞葉に縁取られた黄色い花が咲き、その後長円形の白い果実を結びます。現代では果実を採るためにオーストラリア、中国、インド、アフリカ、地中海沿岸で栽培されています。

各種利用法

料理

種子は絞ってオイルに、若い葉はおひたしとして使用され、、コレステロールを下げる治療食の材料に使われます。その理由として、種子にはオメガ3系脂肪酸であるリノール酸を70%含んでいるためです。そのため現代ではサラダ油やマーガリン、ショートニングなどの原料に加工されます。また、サフランの代用に使うことも可能です。

実用

ベニバナの油煙から採れる紅花墨は、書画用の墨として用い、オイルを絞った後の絞りカスはコストの低い家畜の飼料として再利用することができます。

薬用

苦味のある芳香性のハーブで、循環器系、心臓、子宮の刺激、解熱、消炎、鎮痛、血中コレステロール値の降下作用があります。

冠動脈疾患、捻挫、更年期障害、黄疸、はしかに内服することができ、外用では打撲、捻挫、皮膚炎、外傷、関節痛と麻痺に花を利用します。

栽培

耐寒性があり、日向の水はけの良い乾燥気味の土壌を好みます。直根性で移植を嫌い、高温多湿の環境にさらされ続けると、炭疽病の原因となるので注意しましょう。

収穫は花頭を摘み取り、生か乾燥させたものを成分抽出液に加工します。気をつける点は、咲き切った管状花を子房を残すように取り去り、種子に成長したらオイルを抽出しましょう。

歴史

古代から食品、繊維製品、口紅や頬紅等の化粧品の着色料として需要が高いです。仏教の修道僧や尼僧の僧衣、古代エジプトのミイラには伝統的にこの花で染めるという習わしがありました。

日本には3世紀半ばとも4,5世紀にもたらされたと諸説ありますが、こちらでも染料として使われていました。その後江戸時代に入り山形藩がベニバナ栽培を奨励し、一大産地に育て上げ、高級化粧品の着色料として京や大阪で飛ぶように売れていたという記録があります。

ベニバナの俗称で「スエツムハナ」と呼ばれることがあり、これは茎の末。つまり先端から花を摘んでいる様子から付けられたという説と、源氏物語に登場する末摘花(常陸宮の姫:ひたちのみやのひめ)の鼻が赤いことから「紅鼻(べにばな)」というあだ名で呼ばれ、同じ読み方の紅花(べにばな)と文字をあてたという説が存在するのです。

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