日常

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行ってきました。

今日は上野にある東京国際西洋美術館で開催されているロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行ってきました。その時に見て印象に残った絵画の個人的な感想と最後に回った後の総評を書いていく。そんな内容となっています。

最近ハーブの情報屋というブログ名なのに本筋とどんどん離れていっているような気がしなくもないですがそこは申し訳ないです。

エリザベス・スチュアートの肖像

黒い服に身を包んで背景には赤いバラが描かれているエリザベス・スチュアートの肖像画です。近くで見た時は、手に持っているバラのさらに下に描かれているバラは枯れていて、黒い服に枯れたバラ、そして赤いバラ花言葉は「あなたしかいません」、「あなたを愛しています」このことから間違っていると思いますが、愛する人に先立たれた時に描かれたもの7日もしれないと思いました。物憂げな表情がなんとも印象的な肖像画でした。

シドンズ婦人

ゲインズバラが描いたシドンズ婦人の肖像画で、18世紀を代表する女優。シェイクスピアの4代悲劇の一つマクベスの主人公である将軍マクベスの妻を演じた人物です。

まずマクベスがどういった物語かをざっくり説明すると、主人公であるマクベスが妻と共謀して王を暗殺して王位につくも、最後は他の貴族や王子に復讐されるというお話です。

その妻を演じたのがこのシドンズ婦人で、その迫真の演技力は当時絶大な人気を誇っていたようです。特に衝撃的だったのは劇中で精神に異常を来して夢遊病になるというシーンが有り、そのシーンはなんと本物の夢遊病患者を観察して演じたというのだから驚きです。

そのシーンはあまりにショッキングで観客たちは墓地にいるような寒気がしたと後世に記録を残していることから、当時のマクベスを見てみたいと思いました。

彼女の演技がすごすぎてこんなエピソードも残っています。あるとき衣装を買うために店員に「これは洗えば汚れが落ちるのかしら?」とシドンズ婦人が店員に尋ねたところ、店内が凍りついてしまったと言われており、彼女がいかに名女優だったかを窺い知ることができますね。

ちなみにシドンズ婦人の肖像画は幾つか描かれており、殆どは舞台の綺羅びやかな状態で描かれているものが多いですが、これは普段のシドンズ婦人を描いたという珍しい肖像画です。描かれている婦人はどことなくリラックスしているようにも見え、服は青と白のボーダー柄で、本物にしか見えないような繊細な描かれ方をしていました。

ヴェネツィア大運河のレガッタ

カナレットの描いたこの絵画は18世紀の貴族の若者たちが教養の最終仕上げにイタリアなどへ行く「グランド・ツアー」に行った時に、現地の絵を描かせるというのが流行した際に描かれた作品です。その中でも人気だったヴェネツィアがモチーフです。

この絵を見た時の緻密さといったら驚愕に値し、建物から小舟にいたるまで多くの人が犇めき合っている様子がキャンバスいっぱいに描かれており、さらに周囲の風景のリアリティさも相まって息が詰まるような圧倒的なスケールとその場にいるような錯覚を覚えた作品で、鳥肌が止まらなかったです。

リチャード・ミルズの肖像

この描かれている青年は後の植物学者であるリチャード・ミルズで、毛皮のマントを羽織ってドヤ顔してるのが中々に決まっている一枚です。特に印象に残っているのは羽織っているマントで、本物かな?と錯覚するぐらいにリアルで、触ったら質感まで伝わりそうなほど精巧に描かれていました。また、自身に溢れた表情も見ものです。

ちなみにグランド・ツアーに行ったということに箔をつけるために画家に描かせることがステータスだったようで、そのため現地の風景に彫像がセットで描かれることが多かったようです。

マルタとマリアの家のキリスト

この絵を書いたのはスペインの画家ベラスケスで、当時では新しいジャンルであるポテゴン(厨房画)を切り開いた人物です。

手前に描かれている露骨に嫌そうな表情をしている新人従者と、それをなだめる先輩従者の対比となっている表情が特に印象的でした。

奥に描かれている聖マリアとマルタの様子とキリストは何か話し合っているようにも見え、会話の内容を想像するのも面白いかもしれませんね。次女の表情に目が行きがちですが、料理の材料も非常にリアリティで見ものです。

ウェリントン公爵

この人物はナポレオンの軍を破ったスペインの英雄です。

この肖像画を書いたのはフランシスコ・デ・ゴヤですが、この絵の特徴は英雄であるにも関わらず目は虚ろで英雄の影を表しているようにも見え、胸に輝く勲章もどこか色あせて見える気がするという印象を受けました。

私が感じたのは、間違っているかもしれませんが見栄ばかり張って表面上にしか気が向いていない上っ面だけの人物を本質的に描いた作品で、人間の本質の一部が見え隠れする作品だと思いました。

神殿から商人を追い払うキリスト

神殿は信仰の場であるにも関わらず利益ばかり追い求めて商売している人々を追い払っているキリストを描いた作品です。

個人的に面白いと思ったのは追い払っているキリストの表情で、怒りを通り越して無表情になっていることからガチギレしてるようにも見え、聖人でもキレる時はキレるんだなと思いちょっと親近感が湧きました。

あくまで個人的な意見ですが、信仰をカネに変えて利益を生み出そうとしている現代の新興宗教に対してこの絵は風刺画としても的を射ているようにも思いました。

コルオートンホールのレノルズ記念碑

この絵を見た時、何故か分かりませんが感情が強く揺さぶられて衝撃を受けました。

秋めく森の中にひっそりと建てられた記念碑と左右に描かれたミケランジェロとラファエロの胸像が印象的でした。物悲しい雰囲気の中に故人に対する哀悼と畏敬の念が溢れんばかりに感じた作品というのが私の感想です。

ひまわり

ゴッホを象徴するこの絵を見た時、厚く塗られた絵からまるで大きなエネルギーを発しているようで、この絵が掛かっているところだけはとても明るく輝いているような錯覚を覚えました。この絵を書いたゴッホは一体どういう人物だったのかを想像させる絵で、本物だからこそ感じるオーラと言うかプレッシャーを放つ素晴らしい絵画でした。

総評

本物の絵に終始圧倒されっぱなしという感じで、絵の製作者の思いや熱意、執念と言い換えることも出来るようなエネルギーを感じました。

肖像画や風景画も細かいところまで描かれ、真の芸術家になるにはやはり努力だけでなく才能が必要で、それも人並み外れた何かがないと成功するには難しいのかなと思いました。今回鑑賞したすべての絵はどれも精巧で、本物だからこそ発するパワーを貰えた有意義な美術展でした。

余談ですがやたらと顎が痛いと思ったら歯を食いしばっていた模様。思っていた以上にストレスを感じていたのかもしれませんが、最高峰の絵を見れたので大満足です。

皆さんも機会があれば美術館へ行ってみてはいかがでしょうか?

 

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Kemu
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