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ハーブ解説過去記事まとめ Part85

はじめの挨拶

皆さんこんにちは。

今回解説するのは北米先住民が薬として利用していたコニザと呼ばれるハーブとパクチーという名前で流行ったコリアンダーの2種類について解説をしていきます。

コニザとは

50種ほどの一年草と多年草からなる属で、主に北米に生息していましたが、現在ではヨーロッパ、アジア、オーストラリア、そして太平洋の島々に生息域を広げています。

Conyza canadensis

読み方:コニザ・カナデシス 英名:horseweed 日本名:ヒメムカシヨモギ

背の高い一年草で、細い鋸歯状の葉を付けます。夏の終りと初秋に淡い藤色がかった緑白色の舌状花と黄色い筒状花からなるアザミに似た花を円錐花序に付けます。このハーブはカナダ南部からアメリカを経て、熱帯アメリカに至る広い地域で見かける雑草です。

各種利用法

薬用

苦く、かすかな芳香性のあるハーブです。利尿、止血作用があり、下痢や出血、月経過多、腎機能不全、気管支疾患に内服できます。また外用では湿疹や白癬にも有効です。

栽培

栽培種で耐寒性があります。日当たりの良い砂質の脆い土地を好み、殆どの環境に耐えることが出来、そのため大きさが変化することもあります。繁殖は春に種をまきましょう、収穫は花が咲いたら全体を刈り取り、オイル、成分の抽出には生のままが最適です。乾燥させてしまうと一年と保たないので気をつけましょう。

歴史

1653年にブロアの植物園で記録され、30年以内に世界中に広がり、1690年代にはイギリスでも見られるようになりました。見栄えが悪いため恐らく薬用として輸入されたものが野生化して世界各地に広がったと思われます。

1839~1916年に米国薬局方に収録されるまでは北米先住民のハーブでした。ホウマ族、オジブウェ族、メスクァーキ族、カタウバ族、クリー族その他多くの部族が下痢や内痔核、月経不順の治療薬として利用し、また虫よけにも利用していたことから、カナディアン・フリー・ベイン(カナダ産蚤殺し)の名前が付きました。

続いてパクチーもといコリアンダーについて解説をしていきます。

Coriandrum sativum

読み方:コリアンドゥルム・サティウム

直立性の一年草で刺激的な香りがし、夏には藤色がかった白い花が咲き、熟すと甘い美味しそうな香りのする茶褐色の淡い果実を結びます。

別名シャンツァイやパクチーなどと呼ばれる細い一年草2種が西南アジアや北アフリカに分布しています。原産地では耕地や空き地で見られる雑草として見られていますが、最も古くから栽培されているハーブの一つで、3000年以上も前から栽培されていました。

中世の時代によく効くとされていた薬用ハーブ類同様、サンスクリット語や古代エジプト語、ギリシャ語、ラテン語に記載されている属名はkorian-non「ナンキンムシ」を語源としており、コリアンダーの葉の異臭に因むとされています。

各種利用法

料理

葉は特に中東、東南アジアで食品の香味料として広く使用されています。種子はカレーやピクルス、焼き物料理などに加えられます。

ティー

種子はスパイシーでフルーティーなエキゾチック調の香りが特徴です。

香料

オイルはジンやシャトゥルーズなどのリキュールや香水などで珍重されている他、心をなだめて落ち着かせる作用があります。また最近の研究ではグルコース及びインスリンレベルを低下させ、膵臓機能をサポートするという効果があることが判明し、膵臓を強化する効果についても研究しているようです。

薬用

豊富な揮発性オイルを含む葉と種子は主に消化管系に働きかけ、食欲増進、鎮静、去痰作用があります。オイルは殺虫、抗菌作用を持ちます。

軽い消化機能不全に内服し、外用では内痔核、関節痛に有効です。また緩下剤を利用したときの腹痛を抑える際に利用されることがあります。

栽培

園芸用品種で耐寒性があります。日向の水はけの良い土地を好みます。涼しく湿度の高い春とそれに続く熱い乾燥した夏の気候が適しています。繁殖は春に種を蒔く事で増やすことが可能ですが、種ができる時期に乾燥が続くと徒長してしまうため気をつけましょう。

アニスと共に植えると発芽を促進し、アブラムシ、キャロットフライの予防になります。また混植することでハダニの被害を抑えるとされています。ただしフェンネルと一緒に植えてしまうと負けて種子が減るとされているので、植える際には注意しましょう。

葉は若いうちに収穫し、生で使用しましょう。種子は熟したら集め、そのまますり潰して料理に使うか、薬用で使う場合種子を粉末、成分抽出液、蒸留オイルで使用します。

参考文献リスト

・ハーブのすべてが分かる辞典 ナツメ社 ジャパンハーブソサエティー
・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
・ハーバリストのための薬用科学 フレグランス・ジャーナル社 アンドリュー・ペンゲリー
・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
・ハーブ大百科 デニ・バウン 誠文堂新光社
・エッセンシャルオイルデクレファレンス 第6版
・エドワード・バッチ著作集 BABジャパン エドワード・バッチ

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