ハーブ一覧

ハーブ解説 目に有効なハーブ達

今回は眼が疲れたときに有効なハーブにフォーカスして紹介します。ですがその前に眼の周りにある筋肉である外眼筋を解説。

外眼筋とは?

結論から述べれば眼球運動に欠かせない筋肉のことです。

眼球を動かすための欠かせない筋肉は以下の通り。
上直筋
下直筋
内側直筋
外側直筋
上斜筋
下斜筋
これら6つを総称して外眼筋といいます。

次にこの外眼筋がどの神経で繋がっているかをお話します。

外眼筋はどの神経と
繋がっている?

答えは3つの神経系が外眼筋と関わりがあり
動眼神経
滑車神経
外転神経
この主に三種類の神経が通っています。

動眼神経

先程挙げた外眼筋の上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋に加えて眼瞼筋という眼窩。

つまり眼球の収まっている周りの筋肉の動きを司ります。

また目のピントを合わせるときに使われる毛様体や虹彩が機能するのもこの神経のおかげ。

因みにこの神経は自律神経と運動神経の両方が混ざった混合神経と呼ばれます。

滑車神経と外転神経

上斜筋を司っているのが滑車神経、外斜筋を担っているのが外転神経と覚えましょう。

外眼筋の種類と本題

簡単に述べると自身の意志で動かすことのできる随意筋の一種。

ここで重要なのが筋肉が固くなると神経伝達が悪くなるという事実。

なに当たり前のことを言ってんだと言いたい気持ちはよくわかります。

例えば激しい運動をしたあとの筋肉痛になったとします。するとマッサージやストレッチをしますよね?

さて前置きが長くなりましたが本題。

手や足をマッサージするように、目の周りにある外眼筋もケアできるのでは?

そこで今回は
・筋肉そのものをケアするハーブ
・神経をリラックスさせるハーブ
・眼に効果のあるハーブ

この3種類にフォーカスしてご紹介。

眼を癒やしてくれる
ハーブ

ビルベリー
Vaccinicum myrtillus

北米北部の砂地やヨーロッパの森林、牧草地に生息する多年生の低木で果実エキスが薬用として利用されます。

主に含まれているのはフラボノイドの一種アントシアニン

驚きなのがこのビルベリー、なんと15種類以上のアントシアニンを含んでいるのです。

ここでアントシアニンがどんな働きをするのかを解説します。

アントシアニンの働き

簡潔に言うと以下のような働きがあります。
コラーゲン安定
毛細血管透過性の正常化
血小板抗凝集
平滑筋弛緩

コラーゲンの安定化

簡潔に言うとアントシアニンにはコラーゲン破壊を著しく予防してくれる働きがあります。

具体的には

○コラーゲン繊維を交差結合させて強化する。

○フリーラジカルによる損傷を予防。平たくいうと抗酸化作用に優れている。

○白血球から分泌される酵素によるコラーゲン切断を抑制

○炎症を促進する
・ヒスタミン
・セリンプロテアーゼ
・プロスタグランジン
・ロイコトリエン
などの化合物の合成と放出を抑制

毛細血管透過性の
正常化

強力なビタミンP活性を持っているため、細胞内のビタミンCを増加能力と脆弱性を減少させます。

その能力はそばなどに多く含まれるルチンの2倍。なので動脈静脈毛細血管障害の治療に広く用いられている。

ある研究ではアントシアニンが血液脳関門の透過性を上げることで中枢神経障害が回復する可能性が示唆されました。

どういうことかというと、アントシアニンが脳毛細血管の基底膜コラーゲンにある酵素及び非酵素分解を抑制します。

すると薬物、汚染物質、天然の分解生成物、大脳毒素から保護する能力の維持あるいは回復を促すと思われます。

平滑筋弛緩作用

まず平滑筋とは自身の意志で動かせない筋肉のことで神経で自動的に動くような筋肉のことです。

例)胃や腸などの消化器系の臓器

様々な実験において血管平滑筋を弛緩させることがわかっており、月経困難症に臨床応用することも可能。

ウスベニアオイ
Mavosylvestris

アオイ科のハーブでピンク色に赤い筋の入った鮮やかな花が特徴的で、このハーブで淹れるティーは珍しく青いのです。

この青色色素はアントシアニン。よくブルーベリーや赤ワインに多く含まれるフラボノイドの一種。

今日アントシアニンが眼に良いとされるのはコラーゲンの安定性能があるため。

じつは眼球の主成分はコラーゲンヒアルロン酸。それらの結合を助けてくれるから目にいいというわけです。

アイブライト
Eupharasia officinalis

その名前の通りあらゆる眼のトラブルに使われているハーブで以下の症状に使われています。

・疲れ目
・結膜炎
・ものもらい
・目の痛みやかゆみ
・花粉症などによる目のかゆみ

ほかにも鼻水や上気道カタルなどの症状にも有効です。

主な成分はイリドイド配糖体のアウクビンやフラボノイドのケルセチンアピゲニン配糖体など。

使い方の例としてこの植物を濃く煮出した煎剤を洗眼液やコットンやガーゼに浸して冷浸剤として利用します。

神経に働きかける
ハーブ

ホップ
Humulus lupulus

ビールづくりに欠かせない

ビールで苦味をつけるときに用いる植物として知られていますが、鎮静作用があるハーブとして名高いです。

ホップに含まれる8-プレニルナリンゲリンという化合物が鍵を握っており、この成分がホルモンに働きかけると言われています。

その一例として更年期女性を対象にこの植物を調整したエキスを6週間に渡って摂取した研究があります。

結果ホットフラッシュ寝汗不眠などが軽減されました。

他にも食欲の増加や消化の促進、歯痛や神経痛の緩和し、不眠を改善してくれるハーブと言えますね。

さらに、バレリアンなどの鎮静作用のあるハーブと一緒に組み合わせて使うという研究もあります。

これら2つの組み合わせはベンゾジアゼピン(睡眠薬)のように眠りにつくまでの時間を短くして睡眠の質を向上させたという結果もあります。

ホップと
歴史の偉人

イギリス国王
ジョージ三世

不安や精神的な不調を引き起こすポルフィリン症だったためホップを詰めた枕で寝ていたと言われています。

アメリカ第16代大統領
エイブラハム・リンカーン

緊張を和らげて眠りやすくするためにホップ枕を愛用していたと言われます。

バレリアン
Valeriana officinalis

北米やヨーロッパに自生する多年生植物で主に使うのは根の部分。伝統的に不眠や不安、疼痛などを解消する鎮静剤として次の症状に対してよく使われていました。

・偏頭痛
・不眠
・ヒステリー
・疲労
・腸の痙攣

バレリアンの含有成分

特に重要なのがバレポトリエイトバレレニック酸。これらはバレリアンにのみ含まれ、鎮静効果はバレポトリエイトにのみだと考えられていました。

しかし、最近の研究でバレリアンの水エキスにも効果があることが判明したのです。

その理由はいたって単純。バレポトリエイトは水に溶け出さないためバレレニック酸に化学的因子があると結論付けられたため。

ほかにも揮発油成分やコリン、フラボノイド、ステロール、数種のアルカロイド(アクチニジン、バレリアニン、バレリン、カチニン)が含まれます。

バレリアンの
薬効と薬理

簡潔に言うと鎮静作用に優れ、睡眠薬と同じような働きをするのです。ほかにも次のような効能があります。

・中枢神経正常化
・降圧
・胆汁の流れ増強
・腸筋肉の弛緩
・抗腫瘍性及び抗菌活性

最近の研究結果によるとバレポトリエイトとバレレニック酸にはベンゾジアゼピンと似た働きがあり、ガンマアミノ酪酸の一種GABA受容体と結合することがわかっています。

さらに精神機能障害や宿酔といった副作用もなく、依存性も報告されていないため眠りのトラブルを抱えている人の救世主となりえますね。

パッションフラワー
Passiflora incarnata

優しい鎮静作用のあるハーブとして子供から老人まで幅広い年代の人に有効で、ヨーロッパではホーソーンやバレリアンと合わせて消化不良や過敏症に用いられます。

薬効

全草が不眠症や不安などに使われていますが、じつは詳しいことがわかっていないのが現状。

精神活動に関連するとされる酵素の働きを抑えると言われ、GABAと呼ばれる鎮静作用をもつ神経伝達物質と結合するためだと言われています。

動物実験ではパッションフラワーには抗不安作用と鎮静作用があることがわかっており、人に対しても研究も待たれます。

臨床実験では不安感を感じる患者32人をグループ分けして次の物を投与しました。
A
・パッションフラワーエキス
・プラセボ薬

B
・ジアゼパムの類似薬品
・オキサゼパム
・プラセボ

一ヶ月間投与した結果、どちらもめまいと傾眠の発生率に変わりはありませんでした。

ですがパッションフラワーを投与されたグループは業務遂行能力の低下が少なかったという報告が。

筋肉に働きかける
ハーブ

ローゼル
Hibiscus sabdarifa

ウスベニアオイ同様アオイ科に属するハーブで強烈な酸味が特徴。この酸味はクエン酸リンゴ酸、ハイビスカス酸などの植物酸によるものです。

これらの植物酸にはエネルギーの代謝新陳代謝を高めてくれる働きがあります。

つまりパソコンやスマホなどで眼の筋肉を酷使したらこのハーブティーを飲むことで疲労回復効果が期待できるのです。

さらにビタミンCを豊富に含み、さらにそこへローズヒップを加えると飲みやすくなり肌にも嬉しいハーブティーに。

マジョラム
Origanum majorana

シソ科のハーブで古代ローマ時代では「幸福のハーブ」、ギリシャ人には「山の喜び」という名で知られていました。

その理由は寿命を伸ばすと言われていたためです。

薬効成分と効能

主に使われるのはエッセンシャルオイルで主成分は以下の通り。

・テルピネン-4-オール
・γ-テルピネン
・リナロール
・α-テルピネン
・α-テルピネオール
・サビネン

筋肉を鎮静させる特性があり、体や関節の不快感を和らげてくれます。また消化管を落ち着かせる働きもあります。

加温作用もあるので心理的、身体的なこわばりを暖かく包み込んで解消させてくれるのです。

例えばストレスによる肩こり、腰痛、便秘、頭痛などの症状を和らげてくれますよ。

まとめ

目の周りにある筋肉を外眼筋を和らげ、神経の流れを本来の状態に戻すと回復する。

その有効なハーブとして眼からのアプローチは
・ビルベリー
・アイブライト
・ウスベニアオイ

神経を落ち着かせるには
・ホップ
・バレリアン
・パッションフラワー

筋肉をほぐすには
・マジョラム
・ローゼル

これらのハーブを日々の生活に取り入れて眼をセルフケアしてみてはいかがでしょうか。

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@けむさん
今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。

参考文献

■自然療法Ⅱ【天然素材の薬効薬理】
■英国流メディカルハーブ
■エッセンシャルデスクレファレンス|第6版
■ハーブと精油の基本事典
■メディカルハーブ辞典

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Kemu
毎日ハーブのあれこれについて更新しています。

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