生薬

生薬Part4 澤瀉

サジオモダカ
基本情報

学名:Alisma orientale
科:オモダカ科
属:サジオモダカ属
産地:・中国(四川、福建省)
・朝鮮半島
・日本(長野、北海道)

東アジア北部に自生する沼沢性多年草。水田や河川の浅瀬に見られ、名前の通りさじのような葉が特徴。

夏から秋にかけて高さ60-90cm程度の花茎を出して複輪生総状花序が、頂点に咲く。多数の白い小さな花をつける。

葉は長さ10-20cm、幅5-10cmの長い柄を持つ。葉の形は楕円形。

日本での生産数は少なく、現在は中国や朝鮮などから輸入品が流通している。

澤瀉(タクシャ)
解説

漢方として利用するのは地下茎で、周りのものを剥いだもの。タクシャ末は粉末にしたものを指す。

球円形で淡い灰色がかった茶色か黄褐色でイボのような突起が多数あり、やや苦味があってわずかに芳香がある。

冬に掘り出して数度に分けて乾燥させ、細い根や表皮を取り除く。

固くて割ったときの断面が白いものが良品

澤瀉の主成分

トリテルペン類

アリソールA,B,C

セスキテルペン類

アリスモール

他にはカリウム、アミノ酸、ビタミン類、レシチン、多量のでんぷんを含む。

主な薬効

利尿
・止渇

エキス
・冠状動脈拡張作用
・血圧降下
利尿

アリソール
・抗脂肪肝作用

漢方処方

胃苓湯(いれいとう)
四苓湯(しれいとう)
猪苓湯(ちょれいとう)
茵蔯五苓散(インチンゴレイサン)

神農本草経の上品に収載。漢方では利尿、止渇のために用いられていた。

ほかにも
・下痢
・めまい
・口の乾き
・胃内停水
などにも初歩されている漢方の要なのです。

語源解説

学名のAlismaはギリシャ語でオモダカを表す古名、「ハリスマ」に由来する。

面白いことにハリスマというギリシャ語は、海辺や塩を表す「ハルス」からきているとか。ですがオモダカは淡水の植物という矛盾・・・

種小名のOrientaleは東洋の、東方のという意味。

和名の由来

基原植物のサジオモダカは葉の形が匙の形をしているオモダカ。という意味。(そのままだね)

またオモダカは面目が立つに通じるとか、葉の形が矢じりに似ているとされ、「勝ち草」という別名が。

そのため武家の家紋として普及し、戦国武将の福島正則や毛利元就が用いていました。

江戸時代に入ると花が観賞用として人気が高まり、『ハナグワイ』と呼ばれた。

余談だが正月の縁起物「慈姑(クワイ)」は野生のオモダカを品種改良して食用にした栽培品種。

利水剤と腎臓、あとナトリウム排泄

宅者に配合される漢方にはブクリョウ(茯苓)、チョレイ(猪苓)、ビャクジュツ(白朮)がしばしば含まれる。

例えば
五苓散(ごれいさん)
澤瀉、茯苓、猪苓、白朮、桂皮
四苓湯(しれいとう)
澤瀉、茯苓、猪苓、白朮
茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃとう)
→澤瀉、茯苓、猪苓、桂皮、甘草、生姜⇒猪苓含まず
猪苓湯(ちょれいとう)
澤瀉、茯苓、猪苓、滑石、阿膠⇒白朮含まず

これらを含んだ漢方の処方を苓朮剤(りょうじゅつざい)という。

五苓散を服用した際の実験では浮腫時は尿量が増えて脱水時には減少したという報告がなされた。さらに澤瀉には腎臓におけるナトリウム排泄量の増加も報告されている。

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