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ハーブ解説 Part75

今回紹介するのはビール造りに欠かせないハーブ、ホップです。

特徴

高さ6~8mまで成長する蔓性多年草で、ビールの原料としておなじみです。春に地下茎を伸ばし、掌状の葉が対生します。

雌雄異株で、雄花は目立たない薄黄色の花で、雌花は穂のような形で松かさ状をしており、毬花という別名もあります。さらに、雌花の基部にはルプリンという黄色い粒子ができ、これがビール造りに利用されます。

各種利用法

料理

シェリー酒に浸ければ食前酒になるほか、花を発酵させて天然の酵母を作ることも可能です。さらに、ショウガやレモン、砂糖などを加えたドリンクも製作できます。

ハーブティーとしても利用できますが、苦味が強いため他のハーブとブレンドして食後に飲むことをオススメします。

健康

落ち着かない、ザワザワするといった不安や神経が高ぶった状態を鎮める事ができ、特に不眠にパッションフラワーやキャットニップと一緒にブレンドして利用されることが多いです。

鎮静作用や健胃作用に優れ、神経性の胃痛や胃痙攣、過敏性腸症候群(IBS)といった症状に活躍します。

歴史

古代エジプト時代にはすでに登場しており、当時は薬草として利用されていました。ビールの香り付けとして使われ始めたのは15世紀頃で、それまではアニス、ミント、シナモン、クローブ、ヨモギ、ホップを混ぜた「グルート」と呼ばれる香味剤が使用されていました。

最古の栽培記録としては736年のドイツ、バイエルン地方のハラタウという地域で、当時盛んに栽培された理由としては、口当たりの爽やかさに加え、雑菌の繁殖を抑える力が認められたためだとされています。

1516年に入ると、バイエルン公ヴィルヘルム4世によってビール醸造には大麦、水、ホップ(16世紀には酵母も加えられた。)の3種類のみを用いるという「ビール純粋令」が公布され、これが現在のビールづくりの原点となります。また、当時のキリスト教の教えでは「ビールは液体のパン」、「パンはキリストの肉」という考え方から修道院では断食が行われ、「生命の水」、「活力の源」として栄養補給に使われました。

16世紀の文献

当時の文献にはホップは人を憂鬱にさせ、性欲を減退を招くという記述が残っており、「危険なもの」として書かれていました。その理由として、英国の伝統的な香り付けのハーブに対し、対抗意識を燃やしていた為だと考えられます。

ちなみに、イギリスにホップが導入されたのは、ヘンリー8世統治下の元、大陸から導入されました。

学名:Humuls lupulis

読み方:フムルス・リプリス

Humuls

ラテン語で「大地」を意味し、地面を這う様子から付けられました。

lupulis

「小さな狼」という意味で、他の植物に絡みつき、実害を与えるためです。

あとがき

今回はホップについて解説しました。

補足を入れると、日本に到来したのは明治初期で、北海道で栽培が始まりました。これが後の大手酒造メーカー、アサヒビール株式会社の先駆けとなるのです。

今回の記事はここまでです。またの記事でお会いしましょう。

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Kemu
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