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ハーブ解説 Part142

今回は過去記事のリメイク版ということで、ボリジについて改めて解説していきたいと思います。

Borage

星型の花をつける高さ30cm~1mになる一年草と多年草が3種類存在し、地中海沿岸や西アジアに自生しています。B.pygmaea(ボロゴ・ピグマエア)は観賞用品種で、料理や薬用などには向かないので注意しましょう。

学名の語源は剛毛のある葉の様子から「毛皮の外套」を意味するラテン語、Burraに由来しています。

Borogo Offichinaris “alba”

ボリジ同様剛毛のある葉を付けますが、こちらは白い花を付けます。

Borogo Offichinalis “borage”

ボラゴ・オフィキナリス・”ボリジ”

ボリジといえば星型の花を咲かせるのが特徴です。直立した太い茎の中は空洞でがっしりとしており、葉は剛毛が生え、触るとチクチクします。花後には黒褐色の実を結びます。

 

この花を絞った汁は”マドンナブルー”と言われ、かつては絵の具の材料になっていました。

各種利用法

利用部位:葉・花・種子

料理

葉はキュウリのような香りがすることから、伝統的なワインベースのお酒にまるごと加えられていました。イタリアでは葉や花が野菜料理に入れられるほか、酸味のあるものに触れるとピンク色になるという特徴もあり、シロップやケーキの飾り付けに使われるデコレーションの砂糖漬けやアイスキューブにも利用できます。

ハーブティー

清々しい味と香りが特徴で、熱を伴う風邪や咳、インフルエンザといった諸症状の緩和に役立ちます。心臓への強壮作用もあり、動悸を鎮め、病後や長期的な疲労が重なったときの心機能を回復する手助けをしてくれます。

薬用

塩味のある冷却性のハーブです。傷つき、炎症を起こした組織の慰撫、発汗促進、弱鎮静、抗うつ作用があります。種子にはガンマリノレン酸を多く含み、内分泌系を整える作用があり、月経前症候群の緩和や血圧を下げる作用があります。

副腎を刺激し、アドレナリンを分泌させるとされ、不安な気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。ブレンド例としてオートやレモンバームと一緒にするのもオススメです。

内服では発熱、胸膜炎・肺炎などの気管支感染症や口内、喉の感染症、乾燥肌、慢性腎炎に使われ、外用では目、口の洗浄剤、うがい薬、湿布薬に使用されるほか、種子のオイルはイブニングプリムローズオイルの代用に使われることがあります。

オイル以外には少量のピロリジン・アルカロイドを少量含むため、肝臓障害や肝癌の原因となることがあるため、国によっては法規制の対象となります。

栽培

園芸品種で耐寒性があります。日向で水捌けの良い場所を好み、痩せた土でも耐えられるタフな植物ですが、条件が良ければそれだけ大きく育ちます。繁殖には春、同じ場所に種を植え、45cm間隔に間引きましょう。また、ボリジは太い直根を伸ばすので、移植には不向きです。

他の植物の近くに植えることでマメコガネとトマト。ホーンビートルの防除となり、花はミツバチを引き寄せることからイチゴとの相性もいいです。

収穫

葉は春と夏、花が咲き始めたら集め、生のままか乾燥させたものを成分抽出液にしましょう。花は開花したら摘み、萼を採ってから生のまま使用するか、シロップ、砂糖漬けに加工しましょう。劣化が早いため、摘んだらすぐに加工するようにしましょう。

歴史

古代ギリシャやローマ時代には薬草として扱われ、古代ローマ時代の貴族たちは花をワインに浮かべて味と香りを楽しんでいました。ローマ時代の博物学者大プリニウスも「喜びをもたらすもの」と呼び評価をしていました。

中世の時代、ヨーロッパでは古くから良い血液を作り出すと言われ、薬用ハーブに用いられていました。また、エリザベス朝時代の貴族たちは、この星型の花をモチーフに刺繍を施したとされています。

偉人たちのエピソード

フランス国王 ルイ14世

この花を好み、ベルサイユ宮殿に植えさせ、「ボリジのない庭は勇気のない心のようだ」と言い伝えられたとされています。

ジョンジェラード

16世紀のハーバリストで、悲しみや憂鬱な気分を取り除き、人を快活にし、明るい気分にさせると記録に残しています。

ニコラス・カルペパー

17世紀のハーバリストで、目や皮膚の炎症を和らげるためにボリジを処方した記録が残っています。

クリーブ婦人

20世紀を代表する著名なハーバリストで、ボリジが満開時期に地上部の若い部分はきゅうりに似た味がするため、早春の野菜として食べられると記録しています。

あとがき

今回はボリジについて解説しました。

ボリジは一旦根付けばどんどん成長し、たくさん花を咲かせるため、ハーブを育て始めた初心者の方にもオススメです。ボリジの砂糖漬けはとてもきれいなため、是非挑戦してみてはいかがでしょうか?

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今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。

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