ハーブ一覧

ハーブ解説 Part159

今回は日本の秋の味覚といえばこれと挙げられるであろうハーブ、クリについて解説します。ハーブにカテゴリーされるかといえば違うと言われてしまうかもしれませんが、ハーブとしてカウントします。

Castanea

読み方をカスタネアといい、約12種が北半球の温暖な地域に落葉性の高木と低木が含まれています。棘だらけのいがの中には、淡色の付着痕がついた1~3この堅い果実が入ります。また、属名の由来は、クリで有名なギリシャの街Castaniaに由来しているためです。

C.sativa

読み方:カスタネア・サティウァ

特徴

ヨーロッパグリと呼ばれる品種です。樹皮には溝があり、鋸歯状の葉は約24cmと大きくなります。春の終わりに黄緑色の麝香に似た香りのする花を咲かせるのが特徴です。また、品種の中には葉の縁がクリーム色になる品種も存在するようです。

各種利用法

利用部位:葉・種子

料理

ソースやスープ、詰め物やデザートに活用できるほか、茹でたり焼いたりしておやつタイムに食べたり、砂糖漬けのマロングラッセなどもオススメです。

薬用

意外にも収斂性に優れたハーブで、咳の予防や抗リューマチ作用があります。

発作的な咳や百日せき、痰のつまり、下痢などには葉を内服し、咽頭炎には葉の浸剤をうがい薬にするのも一つの方法です。

栽培

園芸用品種です。日向の水はけの良い土壌を好みます。繁殖には春に種子を蒔きましょう。ただし、栽培品種の種子は発芽しないため、台木を用いて接ぎ木をしましょう。

歴史

英国のハーバリスト、ニコラス・カルペパーが記した書籍「英国の医師 増補版」では”チェスナッツは非常に情欲を掻き立てる。そして、咳や喀血に対する実に見事な治療薬である。”と記しています。

C.crenata

読み方:カスタネア・クレナータ

特徴

こちらは和栗と呼ばれる品種です。開花時期は6~7月の梅雨時で、雌雄同株の広葉樹です。雄花と雌花がくっついた細長い尾のような形をしています。いがと呼ばれる部分は正式名称は「殻斗(かくと)」と呼ばれています。

 

属名のCrenataは「葉の縁がギザギザの」という意味で、合わせるとカスタニアという街で有名なギザギザした葉の植物という意味になるのです。

各種利用法

料理

焼いて良し、茹でてよしなシンプルな調理法もいいですが、炊き込みご飯や渋皮煮は秋の味覚も外せません。また、きんとんなどの和菓子もいいですね。

薬用

洋栗同様収れん作用に優れ、漆かぶれや火傷にはよく乾燥させた葉の浸出液を塗ると症状が和らぎます。

実には高血圧、貧血、便秘改善、疲労回復、老化防止に役立ち、葉は先程も書きましたが火傷や湿疹に効果が期待できます。

歴史

縄文時代にはすでに食べられており、青森県の三内丸山遺跡から発見からはクリの柱や依存帯が大量に見つかり、さらにその周辺の集落では育てていた痕跡も見つかりました。縄文時代後期にイネが入ってくるまでは重要な食料であったと考えられています。

飛鳥時代に入り、大陸から接ぎ木の技術が伝わり、硬い木材であるクリが加工に適しているとして京都の丹波地方で栽培が始まり、そこから広がっていきました。

奈良時代の「古事記」や「日本書紀」にも記載され、「延喜式」には乾燥させて剥いた搗栗(かちぐり)や蒸して粉にした平栗(タイラグリ)なども記録に残っています。また、栗の名前の由来は、「黒い実」が訛ってクリと呼ばれるようになったという説があります。

あとがき

今回はくりについて解説しました。

たまに食べると美味しいクリですが、歴史が思ってた以上に古くて縄文まで遡ることになるとは思っていませんでした。また、種しか食べられないと思いきや実は葉にも薬効があり、新たな一面を発見できて非常に興味深いと思いました。

ちなみに私は一度和栗でモンブランを作ったのですが、皮は固いわ渋皮剥くのが大変だわ裏ごししても中々うまく行かないなど、あまりいい思い出がないのです・・・(笑)

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今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。拙い記事ではありますがこれからも書き続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。

今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。

参考文献リスト

・ハーブのすべてが分かる辞典 ナツメ社 ジャパンハーブソサエティー
・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
・ハーバリストのための薬用科学 フレグランス・ジャーナル社 アンドリュー・ペンゲリー
・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
・ハーブ大百科 デニ・バウン 誠文堂新光社

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