ハーブ一覧

ハーブ解説 Part233

今回は外科手術の麻酔に必要不可欠である一方、麻薬としても闇取引されているコカインですが、その元となるコカの木について解説していきたいと思います。

Erythroxylum coca

読み方:

樹皮が赤褐色の常緑低木です。長さ7cm程の樹皮と同じような赤褐色がかった緑の葉が螺旋状に生えているのが特徴です。葉腋から生じる小さい白い花が密集して咲き、橙色の実を結びます。この品種を含む約250種の低木がアメリカやマダガスカルに分布しており、ここで取り上げるコカノキはアンデス山脈東部の高地を原産としています。

かつては今なお多くの人に愛されているあの清涼飲料水、コカ・コーラの主成分でしたが1902年にコカインの使用が禁止され、コカインの入っていないエキスが主成分として用いられるようになりました。

この品種を始めE.cataractacumやE.novogranatensなどの数種類がトロパンアルカロイド類を含んでいます。ご存知の通り最も重要なのはコカインで、1860年代に初めて抽出されましたが、現在では大部分が合成誘導剤に置き換えられています。

コカそのものは薬剤や精神活性剤、儀式用植物として太古から利用されていました。南米部族に伝わる原始的な神話の中でも重要な役割を果たしています。また乾燥させて粉にしたコカの葉と他の植物を混ぜて興奮剤として利用する方法は紀元前500年頃から行われていたとされているようです。

学名の由来は

各種利用法

利用部位:葉

薬用

苦く、局部を麻痺させる作用のあるハーブで中枢神経に作用します。外用としては湿疹や蕁麻疹、内痔核、顔面神経痛または外科手術の麻酔に欠かせません。強力なものではブロンプトン・カクテルと呼ばれるものも存在しケシとコカを混ぜた物のことで、末期患者の痛みを抑えるのに利用されます。なので有資格者者のみ扱いましょう。

コカインの過剰摂取及び永続的な使用は震え、ひきつけ、記憶喪失、妄想、活動過多、衰弱を引き起こします。多くの国ではコカの栽培、収穫を規制しており、特にオーストラリアでは麻薬としてもみなされ厳しく取り締まっています。

コカインの作用について簡単に書きましたが、具体的にどのようなもので身体に影響を及ぼすかを具体的に示している文献があったので紹介します。

コカイン

コカイン(cocaine)は、南アメリカ原産の低木コカノキ(Erythroxylon coca コカノキ科)の葉から得られます。この木には、コカイン、シンナモルコカイン(cinnamylcocain)、トロパコカイン(tropacocaine)やバレリン(valerine)などのアルカロイドが含まれています。

コカインは、ベンゾイルエクゴニン(benzoyleecgonine)のメチルエステル体で、エクゴニン(ecgonine、コカインを加水分解することで得られる結晶アルカロイド)から半合成することができます。(Tyler et al 1988)。

コカインは比較的不安定な化合物であるので、薬にはより安定性のある塩酸コカインの形で使用されることが多いです。コカインは局所に使用すると、脳への刺激作用や催眠作用が生じます。コカインのアドレナリン様作用は、ノルアドレナリンの再摂取(神経細胞が刺激の伝達を再吸収すること)を阻害するため、極めて短時間ではありますがアンフェタミンに似た作用を引き起こします。

コカインは、肺、心臓や脳に素早く吸収されるためほぼ瞬時に作用を起こし、精神的依存性や耐性を招きます。これは鼻の粘膜の破壊を生じさせます。南アメリカの原住民はコカの葉を噛む習慣がありますが、このような形での使用は比較的害にはならないようです。

あとがき

今回はコカについて掘り下げてみました。

コカイン=麻薬で悪いものというわけではなく、薬用にも利用されているということを知って頂ければ幸いです。植物そのものに罪があるわけではなく、かの有名なシェイクスピアも「物事には、本来、善悪はない。ただ我々の考え方いかんで善と悪が分かれる。」という名言も残しているように、私達の使い方によって良くも悪くもなるので、使うのだったら良いように使っていきたいですね。

Twitter開設したので、この記事が役立ったと思った方は、いいねやフォローして下さると嬉しいです。⇒@kemu26559875

今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。拙い記事ではありますがこれからも書き続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。

今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。

参考文献リスト

・ハーブのすべてが分かる辞典 ナツメ社 ジャパンハーブソサエティー
・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
・ハーバリストのための薬用科学 フレグランス・ジャーナル社 アンドリュー・ペンゲリー
・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
・ハーブ大百科 デニ・バウン 誠文堂新光社
・エッセンシャルオイルデクレファレンス 第6版
・エドワード・バッチ著作集 BABジャパン エドワード・バッチ

ABOUT ME
Kemu
毎日ハーブのあれこれについて更新しています。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です