香りの逸話と歴史

空焚き

今回は広い空間に香を焚く、空焚きについて。

空焚き

広い空間に行き渡らせる香を焚くこと。

現代では茶の席やリラクゼーション、ホテル、舞台の雰囲気作りなど幅広い使用例がある。

空焚き用の器も、様々な場面や用途があってバリエーションが豊富。

また聞香では香木のみ使われるが、練香、印香、線香などおおらかに使われる。

奈良・平安時代の
空焚き文化

当時は室内だけでなく、屋外や衣服、髪の毛などにも香が焚きしめられた。

貴族社会で流行した空焚き文化は、王朝文学に散見する。

“そらだきもの 心にくく薫りいで、名香の香など、匂ひみちたるに、君の御追い風、いと殊なれば、うちの人々も、心づかひすべかめり”
(『源氏物語「若紫」』)

「殿うちより御ひとりもちておはしまして、そらだき物せさせ給ひてそひおはします」(『栄花物語』巻三十ニ)

ここの“からだきもの”は現代で言う線香を指し、“御ひとり”は火取りをさす。

これらのことから、貴族の日用品として香を焚くことが、日常的だったことが伺える。

さらに宮廷では、七夕の儀式の際、庭にしつらえた机に、捧げ物と香炉が置かれ、終始からたきをして彦星と織姫を祀った。

これを星の薫物といい、織姫の別名を“薫物姫”という。

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