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ハーブ解説 Part66

今回はイタリア料理には欠かせないハーブ、バジルについて解説していきます。

学名:Ocimum basilicum

読み方:オーシマム・バシリカム

Ocimum

香りを楽しむことに由来する説と、葉の形が唇に似ていることからギリシア語のOkimonに由来するなど、諸説あります。

Basilicum

王者にふさわしいという意味です。

特徴

アフリカから南アジアの熱帯地域が原産のハーブで、日本では一年草扱いです。一般的に知られるのはスイートバジルですが、ホーリーバジルやシナモンバジル、レモンバジルなど、様々な品種が存在します。

高さ40~60cmまで成長し、葉は爽やかで甘い香りがします。よく枝分かれする茎に、しそに似た小さな白い花が集まった形態で花を咲かせるのです。また、熱帯原産なため寒さに弱いことも特徴の一つに挙げられます。

バジルの花

歴史

インドでは聖なる植物として大切に栽培され、ヒンドゥー教徒の人々が捧げています。これを育てて祭るものは罪が軽くなり、天国への道が開かれると信じられていました。また、死者へ捧げ、野辺の送りをする習わしもありました。

ヨーロッパに渡来したのはアレキサンダー大王がインドから持ち帰った説があります。また、空気を浄化する働きがあるとされ、バジルの鉢が窓辺に置かれました。

イタリアでは愛のハーブとされ、その香りによって相手を自分に向けさせると信じられていました。また、恋人にプロポーズする時にバジルの枝を差し出し、相手が受け取れば愛を承諾し、永久に愛するというロマンチックな伝承があります。

日本に渡来したのは江戸時代で、中国から薬用として輸入されました。種子を水に浸すとゼリー状になり、それで目を洗ったことから、「メボウキ」という和名がつきました。

バジルの小話

バジルの学名は王者にちなむにも関わらず、国によっては貧困や憎悪、不運を象徴するようにもなりました。そのため、バジルの種を蒔く時は貧しさを追い払うために、罵倒しながらまいたというちょっと面白い伝承があります。

主要成分:メチルチャビコール

フェノールエーテルという成分の一種で、バジルオイルから抽出されたオイルには刺激性があるので、使用には細心の注意をしましょう。ただし、スパイスとして使う分には一般的に安全とされています。他にもディルやアニスシードにも含まれているのです。

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各種利用法

料理

ピザやパスタの飾りからソース、トマトの煮込み料理やリゾットなど、イタリア料理には欠かせないハーブで、変わった使い方としてチーズを使ったお菓子とも相性がいいです。

定番は松の実とバジルのジェノベーゼソースで、パスタやリゾットに合わせるのがオススメです。

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ピストゥソースというのもあり、こちらはプロヴァンス地方の冷たいソースのことで、新鮮なバジルとニンニク、オリーブオイルを合わせたものです。冷製パスタやカプレーゼなどに合わせると良いでしょう。

ピストゥ参考画像

健康

スパイスとしてでなく、お茶として飲むことも可能で、消化を促したり、胃炎、胃痙攣、胃酸過多などの胃腸症状の改善に役立ちます。また、神経系に働きかけ、イライラや不安、不眠症を改善する効果が期待できます。

ハーブティーとしての味は、くっきりとしたスパイシーなエキゾチックな味です。

妊娠中に大量に使用するのは控えましょう。

栽培

発芽適温は20~25℃と高めなので、この気温になったら種まきや挿し木で増やしましょう。水を控えめにすると香りが良くなります。また、苗が小さな時は乾燥させないようにすることもポイントです。

葉が生い茂ってきたら新芽のすぐ上を剪定を兼ねて収穫することにより、枝の数が増えて株のボリュームが増え、収穫量が上がります。

バジルとトマトは栽培でも相性が良く、トマトをコナジラミやアブラムシなどの害虫から守り、風味を良くするという、いい事ずくめです。このよう作物との相性がいいハーブのことを、「コンパニオンプランツ」といいます。

品種群

ここからはバジルの品種をいくつかご紹介。

ホーリーバジル

別名、ガパオ、トゥルシーという名で、ヒンドゥー教では女神ラクシュミーの化身とされ、トゥルシーはインドの言葉で「比類なきもの」という意味になります。タイ料理のガパオライスで使われるのが、このバジルです。

ガパオライス
ダークオパールバジル

高さ45cmになるスイートバジルの改良品種です。全体的に紫色でピンク色の花を付けます。料理のアクセントにうってつけです。

シナモンバジル

タイバジルとスイートバジルの交配品種で、シナモンに似た香りがします。茎葉は旺盛に成長し、茎や花はピンク色なのが特徴です。ハーブティーやスイーツ、炒めものなどに使われます。

ブッシュバジル

小さな葉が集まってこんもりと茂っている形が特徴です。スイートバジルと同じような使い方ができ、観賞用にも向きます。スイートバジルに対し、寒さに強いです。

タイバジル

アニスのようなエキゾチックな香りのする高さ30cm程度まで成長します。タイではホーラーパーと呼ばれ、グリーンカレーやフォーに欠かせないバジルです。

アフリカンブルーバジル

ダークオパールバジルとカンファーバジルの交配種。丈夫で生育旺盛で、バジルの中では比較的寒さに強く、寒さに当てると葉が紫色を帯びるのが特徴です。観賞用や食用として人気がありますが、種子はできないです。

レモンバジル

高さ30cm程の小型のバジルで、葉はやや小型で明るい緑色です。タイではメーンラック、インドネシアではクマンギと呼ばれています。強いレモンの香りがあり、魚料理や鶏肉料理といったさっぱりした料理と相性がいいです。

あとがき

今回はバジルについて解説しました。

バジルと一言でいってもこれだけの品種がありますので、自分のお気に入りのバジルで料理を使ってみてはいかがでしょうか?ちなみに私の推しバジルはホーリーバジルです。

少しでも多くの人がハーブの可能性と魅力に気が付き、日常生活に役立てることが出来るようこれからも尽力していきます。

今回の記事はここまでです。また次回の記事でお会いしましょう。

  • ハーブのすべてが分かる辞典 ジャパンハーブソサエティー ナツメ社
  • ハーブティー辞典 佐々木薫 池田書店
  • ハーバリストのための薬用科学 アンドリュー・ペンゲリー フレグランス・ジャーナル社
  • ハーブの歴史百科 キャロライン・ホームズ 原書房
  • ハーブの歴史 ゲイリー・アレン 原書房
  • ハーブと精油の基本事典 林真一郎 池田書店
  • 英国流メディカルハーブ リエコ・大島・バークレー 説話社

 

 

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